はじめに
国内のBtoBビジネス向けにクラウド型ビジネスSaaS(MakeLeaps)を開発していますが、社内運用のために海外のウェブサービスを数多く試してきました。ウェブサービスを提供している企業やスタートアップに役立つツールがここ数年で急激に増え、SaaS業界のインフラが整ってきたことを実感しています。
開発分野はもちろん、カスタマーサポート、マーケティング、社内情報共有、顧客管理など情報系・基幹系共にリーズナブルで使いやすいサービスが数多くあります。自社のサービスやワークフローに合わせて使えるサービスを導入すれば、限られたリソースでも数ヶ月から数年分の時間を削減することができます。
Note: English version of this article available here.
サービス一覧
マネジメントダッシュボード「Segment IO」
「Segment IO(セグメントアイオー)」は使っている全てのウェブサービスをまとめてくれる中心的な役割を果たします。プロダクトを開発するのに忙しい開発者には一行のコードを書いてもらうだけで、使いたいウェブサービスを簡単にオン、オフできます。
私たちMakeLeapsでは臨機応変にサイトを調整できるように、ホームページ用とMakeLeapsアプリケーション用の2つのSegment IOプロフィールを作成し、併用しています。
カスタマーサービスの重要性:ウェブサービスは良いだけでは不十分。
日本のサービスの水準は世界中どこと比較しても、高いです。多くのウェブサービスが出回っている中、良質なサービスを提供するだけでは、競合他社と差別化することは非常に困難です。サービスの質に加えて、以下のようなカスタマーサポートをユーザーに提供する必要があると思います。
1. 迅速なサポート:ライブチャットやメールでお問い合わせを受けた時は、すぐに返答をすること。
2. 親身なサポート:フレンドリーでプロフェッショナルなメンバーをカスタマーサポートを担当することは必須です。日本において欠かせない条件でしょう。
3. パワーを持つサポート:MakeLeapsのユーザーサポートチームは社内でも大きなパワーを持っています。一番お客様に近いチームメンバーの意見は機能改善に関する要望や開発ロードマップの組み替えに関して、最も大きな影響力を持っています。
3つのサポートを徹底するために、ホームページとアプリケーション、両方に別々のチャットサービスを利用して、ユーザーをサポートしています。
アプリケーション用チャット「Intercom」
「Intercom(インターコム)」は、MakeLeapsユーザーとのコミュニケーションを劇的に改善してくれました。親身でフレンドリーなサポートを簡単に楽しく実現できる味方です。
ユーザーの操作は実に簡単です。MakeLeapsにログインすると、「?」(クエスチョンマーク)が画面右下に表示されます。その「?」をクリックすると、MakeLeapsスタッフと直接チャットできます。サポートチームにもリアルタイムでアラートが送信されるため、すぐに返信することができます。チャットだから気軽に会話できるので、貴重なフィードバックや機能改善に関するメッセージが毎日届きます。また、全ユーザーに対して、セグメント化されたユーザー対してなどオーディエンスを変えて、お知らせやメールを送る機能も重宝しています。
▼「Intercom」インターフェイス
▼「?」をクリックして、メッセージを送信
使用例:Chrome 32エラー
数日程前、「請求書の項目がドラッグで上手く移動できない」というお問い合わせがありました。システムは正常に動いてはいましたが、項目をドラックして順番を変えようとすると、項目がカーソルの位置と離れて表示されてしまいました。
「Intercom」でユーザーが利用しているブラウザのバージョンを確認したところ、新しいバージョンのChrome 32でした。すぐにChrome 32にアップグレードし問題を確かめたところ、同様のエラーを確認。その後、直ちに開発チームが問題解決のため動き始め、その作業中にChrome 32を使用しているユーザーのみにこの問題に関するアプリ内で自動通知しました。
▼特定のユーザーのみに自動通知
バグの修正を完了させ、MakeLeapsの新しいバージョンをローンチした時点で、「Intercom」の自動通知をオフにしました。お問い合わせを頂いたその日のうちにすべての作業を完了することができました。
日本語でも使える?
インターフェイスは英語のみですが、MakeLeapsもユーザーの目に触れる全てのメッセージテキストを日本語で書いていますので、自信を持って日本語での使用をおススメできます。将来的にはインターフェイスも日本語に対応することを期待します。
※注:この「Intercom」は「株式会社インターコム」とは異なります。ご注意下さい。
ホームページ用チャット「SnapEngage」
「SnapEngage(スナップエンゲイジ)」を使い始めた頃は、あまり効果が見られませんでした。ところが、メインページとは別に、資料ページや人気の投稿記事に表示されるライブチャットのメッセージをカスタマイズすることで、潜在顧客となるサイト訪問者との距離が近くなり、ライブチャット上での会話が急増し、登録数や有料プランのアップグレードに大きく貢献していたことに気がつきました。
実際はこんな感じです。
▼メッセージ設定画面
▼ページごとのメッセージ例
URL | カスタム設定したメッセージ | SnapEngage ストリング |
---|---|---|
デフォルトメッセージ http://makeleaps.jp |
ようこそ!請求業務についてのご質問がございましたら、ここでお伺いします。 | http*://*makeleaps.jp* |
FAQ ページ http://makeleaps.jp/q-a/ |
解決できましたか?他にご不明な点があれば、ここでお答えします。 | http*://*makeleaps.jp/q-a/ |
料金 ページ http://makeleaps.jp/料金/ |
料金について分からないことはございませんか?30日間の無料トライアルに興味にあれば、ここでお伺いします。 | http*://*makeleaps.jp/ %e6%96%99%e9%87%91/ |
日本語でも使える?
上記の通り、チャットの送受信どちらも日本語でも利用できます。インターフェイスは現在英語のみですが非常に直感的なので問題ないと思います。
カスタマーサポートツール「HelpScout」
数ヶ月前、ずっと利用していた「Zendesk」というカスタマーサポートサービスの利用をやめました。「Zendesk」はとても良いサービスですが、私たちのシンプルな希望からすると、サービスの機能が少し凝り過ぎているように感じました。全体的なワークフローも機械的で、テキストも実際働いている人の感覚があまり感じられませんでした。例えばこんなメールがきたり…。「こんにちは、お客様からのご連絡は私たちにとって重要です。あなたのメッセージ番号は、#42119139499293です。一営業日以内に返信いたします。」
そこで「Zendesk」に代わるべきツールをヘルプデスクアプリケーションの中から探し出し「Help Scout(ヘルプスカウト)」の利用を開始しました。
メールボックスの新規作成が非常に簡単で、チームでシェアしたり、メッセージを検索したり、といった操作が直感的でした。特に複数人で同時作業する場合に、誰がそのお問い合わせを見ているか、編集しているかが分かりやすく簡単で助かっています。インターフェイスもシンプルで、綺麗です。逆に「Zendesk」は日本語サポートがとても手厚いです。
▼メールボックスの一覧表示
日本語でも使える?
「Intercom」と同様、問題なく日本語で利用できます。インターフェイスは現在英語のみです。
開発者ツール「Sentry」
ユーザーがアプリケーション上でシステムエラーや何らか問題に直面した時、私たちは問題の状況を確認するために「Sentry(セントリー)」というデベロッパーツールを利用しています。
【例】ユーザーが社印のアップロードに失敗した時
- 社印のアップロードエラーを感知。
- 開発チームが「Sentry」で調査したところ、対応外のフォーマットでアップロードを試みていたことが判明。
- 開発チームがカスタマーサポートチームに原因を説明。
- カスタマーサポートチームが (「Intercom」を使用し) 該当ユーザーに連絡。
- 社印のアップロードをお手伝いし、すべて上手くいったかを確認する。
▼該当するユーザーへ送るメッセージ例
日頃よりMakeLeapsをご利用いただきありがとうございます。
MakeLeapsの○○でございます。社印をアップロードされた際にシステムエラーが
発生したことを確認いたしました。
ご不便をおかけしまして大変申し訳ございません。開発チームが原因を調査したところ、お客様がアップロードされた
ファイルのフォーマットがMakeLeaps対応外であったことが判明しました。
対応しているファイルは….(略)
チーム内コミュニケーションツール「Slack」
社内のコミュニケーションツールとして、長い間「Skype(スカイプ)」を利用していましたが、「Hipchat(ヒップチャット)」というサービスに移行しました。「Hipchat」はグループチャット内でツイッターのように@から始まる特定のメンバーへのメッセージが可能でした。その機能はよかったのですが、重要な機能がいくつか欠けていました。例えば、通知機能の音が微妙(笑)iOSバージョンが使いにくい、メッセージ送信後にテキストを編集したり、消したりできないなど。そのため数週間前に「Slack(スラック)」へと乗り換えました。
「Slack」はインターフェースが美しく、@でリプライできる機能や送信後メッセージの編集・消去機能がついているので、気に入っています。Mac OS用アプリはもちろん、iOSアプリもあります。Linux用アプリはまだありません (Linuxを使用しているMakeLeapsメンバーは不満そうですが)、Webクライアントも使いやすいです。
日本語でも使える?
インターフェースは英語のみです。検索機能も日本語に対応していないようですが、すぐに改善すると言われたので、期待大です。
CRM(顧客関係管理)システム「Pipedrive」
MakeLeapsは、他のSaaS企業や会計士の先生方とのパートナーシップや、大手企業ユーザーのコンサルティングやテスト運用など、様々なプロジェクトを抱えています。効率よくマネジメントする必要があります。既存のプランをカスタムしたいという要望も多く、見積書の発行も多々あります。そんな絶好の機会を見逃さないためにも、またプロジェクトの進捗状況をチームで共有する為にも、「Pipedrive(パイプドライブ)」は役立っています。
例えば、大手のお客様にはこういったワークフローを「Pipedrive」上で管理しています。
- プロジェクトキックオフ
- 会議スケジュール決定
- 会議
- 見積書の提示
- 請求書の発行
一目で、すべての案件を確認できます。
▼「Pipedrive」インターフェイス
日本語でも使える?
インターフェースはすべて英語ですが、日本語でもインプットが可能です。
あとがき
ここ数年でも新しいビジネス向けのSaaSで、使い勝手の良いものは増えています。勢力を増すこの業界で自社のサービスを提供できることは刺激的です。実際に使っているサービスが、定期的に改善されたり、新機能をローンチしたりすることが今では日頃の楽しみのひとつになっています。
国内で人気を集めるサービスは、日本語の言語対応に積極的な印象があります。Evernoteがその良い例でしょう。ただインターフェースさえ慣れてしまえば、時短や業務効率化など得られる効果は大きいでしょう。何よりも重要なことは、それぞれの分野に特化したサービスを取り入れることで、自社のユーザーの更なる成功と発展を支援することではないでしょうか。